フェンスの種類と選び方をプロが解説

「敷地の境界線をはっきりさせたい」「道路からの視線が気になる」「周りの目を気にせず、庭で子どもやペットを遊ばせたい」など、フェンス設置を検討する理由は様々です。フェンスには多くの種類があるため、それぞれの特徴を理解して選ぶことが重要なポイントとなります。この記事では、フェンス施工のプロフェッショナルの立場から、基礎知識と選び方のコツを詳しく説明していきます。
フェンスの基本的な役割と用途

フェンスは、住まいの外構において重要な役割を果たします。外構工事を計画する際には、設置目的を明確にすることが大切です。ここでは、フェンスが果たす主要な役割について説明していきます。
敷地の境界として
敷地の境界線を示すフェンスは、土地の区切りを明確にする大切な役割を担います。道路に面した場所や隣地との境では、お互いの土地の範囲を明確にすることが重要です。境界線を示すフェンスは、土地の所有範囲を明らかにするだけではありません。防犯の面からも有効で、不審者の侵入を防ぐ効果も期待できます。
プライバシーを守るために
目隠し効果のあるフェンスは、外部からの視線を遮り、住まいのプライバシーを守る重要な役割があります。特に、庭やリビングの窓が道路から見える場所では、目隠しフェンスの設置がおすすめです。近隣の住宅が近い場合も、お互いのプライバシーを守るために目隠しフェンスが活用されています。
お子様やペットの安全のために
お子様やペットがいるご家庭では、安全性を重視したフェンスの選択が必要です。特に道路に面した場所では、お子様が外に飛び出すことを防ぐため、適切な高さと構造のフェンスを設置することが推奨されています。
フェンスの隙間にも注意が必要で、小さな隙間からペットが脱出したり、お子様が指を挟んだりする事故を防ぐための配慮も大切です。また、フェンスに足をかけて登れないような構造も、安全性を高めるポイントとなります。
主なフェンスの種類と特徴

フェンスには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。ここでは、代表的なフェンスの素材や特徴について詳しく解説していきます。
アルミ形材フェンス
アルミ形材フェンスは、現代の住宅に最も多く使用されているフェンスの一つです。軽量で耐久性が高く、錆びにくい特徴があります。横ライン、縦ライン、網目状など、デザインのバリエーションが豊富です。
また、木目調の仕上げも可能なため、温かみのある外観を演出することもできます。門扉やカーポートと同じデザインで統一することもでき、外構全体の統一感を生み出せます。メンテナンス面でも、定期的な清掃程度で美しさを保つことができ、実用的な素材として評価が高いフェンスです。
アルミ鋳物フェンス
アルミ鋳物フェンスは、ヨーロピアンスタイルの住宅に調和する、格調高いデザインが特徴です。ロートアイアン風の重厚な雰囲気があり、洋風住宅の外観をより魅力的に演出します。一般的な目隠し効果は期待できませんが、優雅な雰囲気を作り出すデザイン性の高さが特徴です。
近年は、従来のエレガントなデザインだけでなく、モダンな住宅にも合うスタイリッシュなデザインも増えています。ただし、繊細なデザインのため、強い衝撃には注意が必要です。
スチールメッシュフェンス
スチールメッシュフェンスは比較的安価で、シンプルな構造が特徴です。主に敷地の境界を示す目的で使用され、公共施設や駐車場でもよく見られます。防犯面では、視認性が高いため、不審者の侵入を抑制する効果があります。
耐久性も高く、強度もしっかりしています。亜鉛メッキ処理が施されているため、錆びにくい性質がありますが、沿岸部など厳しい環境では定期的なメンテナンスが必要です。最近では、カラー塗装を施したタイプも増えています。
人工木フェンス
人工木フェンスは、木材の風合いと樹脂の耐久性を兼ね備えた素材です。天然木に近い見た目と質感がありながら、腐食や虫害の心配がなく、メンテナンス性に優れています。特に、デッキやテラスと同じ素材で統一することで、自然な庭の雰囲気を作り出せるでしょう。
また、雨や日差しに強く、色褪せも少ないため、長期間美しい状態を保つことも可能です。最近では木目の表現方法も進化し、より本物の木材に近い質感を実現しています。ただし、完全な木材の代替品ではないため、強い衝撃には注意が必要です。年月とともに多少の色味の変化が生じる場合もあります。
目的別のフェンスの選び方

フェンスを選ぶ際には、設置する目的を明確にすることが重要です。目的に合わせた適切な選択により、期待する効果を得ることができます。ここでは目的別の選び方について説明します。
目隠し重視の場合
目隠し効果を重視する場合は、板状の部材を使用したフェンスが適しています。板と板の間隔を密にすることで、より高い目隠し効果が得られます。圧迫感を軽減したい場合は、上部をスリット状にしたデザインや、半透明のパネルを組み合わせた製品を選ぶとよいでしょう。色は濃い色を選ぶと目隠し効果が高まります。
デザイン重視の場合
デザイン性を重視する場合は、住宅の外観や庭のテイストに合わせた選択が大切です。和風住宅には竹垣調のフェンス、モダンな住宅にはスタイリッシュなアルミフェンスというように、建物との調和を考えます。
また、フェンスの色も重要な要素となります。最近では、木目調の表面処理技術が向上し、天然木に近い風合いを持つアルミフェンスも人気です。門扉やカーポートなど、他の外構部材との統一感も考慮すると、より魅力的な外観となります。
耐久性重視の場合
耐久性を重視する場合は、錆びにくく、紫外線による劣化も少ないアルミ製品が最適です。特にアルミ形材フェンスは、表面処理技術の進歩により、長期間美しい状態を保つことができます。
スチール製品も、亜鉛メッキ処理や塗装処理により高い耐久性を備えています。人工木製品は、腐食や虫害の心配がなく、木材特有の経年劣化が少ないのが特徴です。ただし、設置環境によっては定期的なメンテナンスが必要な場合もあります。海岸部など、厳しい環境下では特に耐久性の高い製品を選ぶことが推奨されています。
フェンスを選ぶときの大切なポイント

フェンスの選択には、いくつかの重要な検討ポイントがあります。ここでは、フェンスを選ぶ際に特に注意が必要な項目について説明していきます。
高さの決め方
フェンスの高さは、設置場所や目的によって適切な寸法を選ぶ必要があります。一般的なフェンスの高さは60cm・80cm・100cm・120cmなど、20cm刻みです。道路に面した場所では、通行人の視線を考慮して80cm以上の高さが推奨されています。
ただし、車の出入りがある場所では、見通しを確保するため低めの高さを選ぶことも検討しましょう。プライバシーを重視する場合は120cm以上の高さが望ましいですが、圧迫感や日照、通風も考慮しなければいけません。
なお、フェンスの高さが140cmを超える場合、1枚2mの長さのフェンスでは柱と束石を1mピッチで設置する必要があります。これは強度を確保し、安全性を高めるための重要な施工基準です。ブロック上に設置する場合は風の影響を受けやすいため、高さ制限に注意しましょう。このように、地域の建築規制や強風への対策も考慮して高さを決定します。
費用と耐久性の関係
フェンスの価格は、素材やデザイン、サイズによって大きく異なります。一般的にアルミ形材やアルミ鋳物製品は高価ですが、耐久性や意匠性に優れています。スチールメッシュフェンスは比較的安価ですが、基本的な機能に限定されがちです。
人工木は中程度の価格帯で、天然木の風合いと耐久性を兼ね備えています。初期費用だけでなく、メンテナンスにかかる費用も考慮しなければいけません。耐久性の高い製品は、初期費用が高くなりますが、長期的に見ると維持費用を抑えられます。予算と期待する耐用年数のバランスを考えて選択しましょう。
まとめ
フェンスは、敷地の境界を示すだけでなく、プライバシーの保護や防犯、お子様やペットの安全確保など、様々な役割を果たす重要な外構要素です。設置目的や環境に応じた適切な選択が、快適な住環境づくりの鍵となります。
弊社、株式会社イチマルでは、お客様のご要望や設置環境に合わせて、最適なフェンスをご提案させていただきます。専門のスタッフが丁寧にご説明いたしますので、フェンスの設置やリフォームをお考えの方は、お気軽にご相談ください。